at the dawn

阿部顕嵐くん/天使でスターで王子様bot

あの頃の未来に、僕らは立っている~風姿花伝によせて

 

 

つながった、と思った。

 

 

 

2016年、夏、六本木。

10代のほそっこい体にはあまりに重い決断を、何度も何度も背負わされた、と思っていた。その最後で最大の決断が、頬がこけてふらふらの彼に託された。

彼は、一度も、何も言わなかった。だから、わたしはずっと、こう思っていた。

 

顕嵐くんにどうか、どうか、ゆるされる未来がありますように。

 

 

 

そうして時が経ち、2022年、冬、明治座

顕嵐くんが好きなものだけ並べた、彼ひとりを見たいと思う人だけが集まる場所。

すべてのスタッフが、顕嵐くんひとりのためだけに動く場所。

 

明治座で独演会、何だったのかと言われると、このツイートがとてもお上品に表現してくださっていてありがたかった。

 

私が言うとこうなる…

 

 

行われたことだけで乱暴に括るなら、いわゆる若手俳優のファンミやバーイベとそこまで大きくは変わらない。けど、それを顕嵐くんがひとりでやるのは、他のわかはいのイベントと、持つ意味も動かすものも大きく違う。

 

たいていの若手俳優は1人でファンミをするのが当たり前だろうけど、逆にユニット活動をベースにしている顕嵐くんは、7人ではなく1人のためだけにイベントを打つことが相当なイレギュラーになる。

7人のユニット活動のためのスタッフを、1人のためだけに自由に稼働させることは簡単ではないと思われるし、メンバーの合意も必要になる(はず)。

 

だからこそ、自分で会社を立て(たらしい知らんけど)、1人だけのYouTubeチャンネル、1人だけのファンクラブ、1人だけのイベント、すべて自分のためだけに人を動かすこと。1万2000円のチケットを買って、明治座に足を運ぶ人をこれだけの数集めた、ここまでの道のりを思うだけで、胸が詰まる。

 

 

初日、顕嵐くんの緊張と客席の張り詰めた想いが交差した、生まれて初めての春の舞。徐々に客席が顕嵐くんと気持ちを通じ合わせ、心がほぐれ、一緒に笑いあった夏の祭り。私物、私物、私物、顕嵐くんにとって、物とは思い出なのだということ。

秋の夜長、十五、六分ラジオの衝撃。冬がどっかに飛んでいくのは帝劇ジャニワの教え、たぶん。顕嵐くんの生け花を見ていると、楽しそうに、真剣に向き合うということを一生分教わる気持ちになる。

 

そしてもう一度、舞。きみのすべては、舞に始まったこと。

自分の踊りで想いが伝わる、客席は受け取ると信じていること。

最後に語るのは背中、そして、きらっきら笑顔のサプライズ。

 

顕嵐くんがやりたいことをなんでもできる未来がここにあってよかった。

あの頃のこと、とても幸せそうにいつくしむように話してくれたけど、同じだけ抱えた葛藤や絶望があったはずで、それはわたしも同じ。

それらお互いのすべてが、ひろくて大きな明治座という空間にふわふわと溶けて、昇華されたような気がして、おもわず涙が出た。

 

 

こんな素敵な未来、顕嵐くんを、私達を待っててくれてありがとう。

みんなが笑顔になれたら、あの頃のこと、笑ってふり返りたいね。

 

そんな未来もきっとあるはず、顕嵐くんはいつだって、そう信じさせてくれる。