2020年2月2日16:30開演、少年社中・東映プロデュース「モマの火星探検記」@岡崎市民会館あおいホール。
印象に残ったシーンの話。ネタバレがあります。あと割としょうもないことしかいっていない
■笑いのセンスがいい
素人目にも脚本も演出もとても丁寧で本当に良質な作品を浴びた気持ち…作り込まれてるけど良い意味ですごくわかりやすくてとっつきやすいし、普通に笑える部分もあってその緩急がたのしかった
— くらげ (@_stomp_in) 2020年2月2日
まあなんていうかここ1年くらい脚本とか演出にウーンとなることが多かったので(ヒプステはちょっと別枠)、舞台中に天井の木目眺めたり空いてる席数えたりする時間がゼロ秒だったことに終わってから気づいて感動しました 観劇のハードル低い
— くらげ (@_stomp_in) 2020年2月2日
早速シーンの話ではない。。
人の生死がかかわる濃い話なんだけど、笑いがちょいちょい挟まれていて、でもそれが全然すべってないしチャーミングなんですよね…マジでトムジェリと何がこんなに違うんだろうとずっと考えていた(たぶん何もかも…)
脚本もそうだし、たぶんこれが演出の違いというものなんだな、とめちゃくちゃ体感した。誰ひとり「はい今から笑わせるシーンですよ~」っていう演じ方じゃなくて、日常の中で「えへちょっとおもしろいことしたろ」みたいなナチュラルさを出すのが上手ですごかった
おじさんがおじさんに乗り移ったおじさんになるくだりはマジでずっと笑ってた。らぶ。
■ホルストがモマに「お前の口から聞きたい」っていうシーン
なんだかんだここがいちばんすきだなあと思いました
自分が見て触れて話した息子の幽霊。自分の幻想じゃない、妄想じゃない、たとえ幽霊であっても、たしかにそこにいたと見たと、自分以外の誰かに言葉にしてもらいたい。その言葉さえ聞けたら、もうあきらめられる。その割り切れなさと縋る想いに胸を突かれました。
個人的には友達が約10年前に推してた鎌苅健太さんを初めて生で観れて嬉しかったです 声が好みだったんだけどあれはホルスト専用なのかな~本当ホルストすごくよかった…
— くらげ (@_stomp_in) 2020年2月2日
マジでずっと言うけど10年前JUNONでしか見たことなかったケンケン、初めてちゃんと見れた、超よかった…声がめちゃくちゃ好みだったんですよ いいオトナになっていらしてなぜか勝手にうれしい
■透明な球体を持って宇宙に行った瞬間
宇宙服の象徴としての透明な球体だったけど、完全に初演JWの透明バルーンじゃん…アクエリアス流れるじゃん…と脳内が2012年にタイムスリップ なんで宇宙にいくと人は透明な球体を使いたがるのか
■「地球にはこんなに悲しみが溢れているのに…」
いやジャニワやん…となってしまう やっぱり宇宙にいくと地球に思いを馳せたり戦争のことを考えたりなぜ宇宙に来たんだ、何の意味があるんだ、と考えてしまうんだな…いいたいことがジャニワといっしょ
個人的にジャニワは狂気のエンターテインメントというより、アイドルを使ったアートの側面が強いと思っている、おじいちゃんのしゃべること、全部アーティストのそれなんですよね…モマのが全然エンターテインメント…
■テレスコープという存在
最初見た時、ジャニワの2幕冒頭に出てくる上半身が机で下半身が下半身のやつを思い出してしまった。今思い出してもあれ何?
■チキンという存在
諸星翔希さん、この立ち位置でここにいれるのすごいし羨ましかったな~~~名前の番手が後ろの方だったからどんな感じなんだろうと思ってたけど普通に全然いい役ですやん…ってなったしこの作品に出れてることがそもそもすごい ナチュラルにそこにいた
— くらげ (@_stomp_in) 2020年2月2日
いい意味でいつものモロじゃないので、いつものモロを探そうみたいな気持ちになって逆にチキンをめちゃくちゃモロという目で見てしまったんだけど全然モロじゃないんですよね~~~声もそうだし、ふっつーにそこにその一人としていすぎる。上手い。
この人がキラッキラのアイドルだって知ってる人この中にどれくらいいるんだろう、えへへ私は知ってるけどね!みたいな謎のマウントを心のなかでとってしまった。
■お母さんが「ここで見てていい?」って言うシーン
ここがコアの一つなんだと思うんだけど、全然ベタベタ描かれていないのがすごくすごくよかった…!これは完全に個人のアレだけど、家族愛を人と人のつながりの原点とか理想みたいに描かれることがすごく苦手で。
このシーン、というかこの作品全体は、確かに家族愛の話ではあるけれど、すべて等しく生命と生命のつながりの話であって、このシーンはあくまで「お母さんとユーリにとっての」特別なものとして描かれていて、こちら側にそれを理解することを全然押し付けてこないんですよね…それがすっっっっごく心地よかった。
何がよかったんだろうってずっと考えてたけど、明確に「テーマはこれ!」「伝えたいことはこれ!」が設定されてないこと、なのかな~と思った 演者は何か特定のメッセージに縛られずただただ役を生きていて、そこからもちろんこちらが受け取るものはたくさんあるんだけど、全然押し付けがましくも
— くらげ (@_stomp_in) 2020年2月2日
暑苦しくもなくて、ストーリーの中身自体は決して軽くないしぼろぼろ泣けるんだけど、すごく爽やかで、それがよかった
— くらげ (@_stomp_in) 2020年2月2日
でも全編にわたっていちばん感じたのはこれだな…
わたし演劇の経験全然ないしやりたいわけでもないけど、平田オリザの描くコミュニケーションや演劇の話がすごく好きで、『演劇入門』という本の中に「現代演劇にテーマの設定は必要ない」というくだりがあるんですよね。
時代が移ろい、社会における演劇の持つ役割は変わった現代において、演劇が「伝えたいこと」「テーマ」を設定する必要はない、あるいはそれは困難である。私(著者)は、伝えたいことを伝えるために演劇をつくることはしない。「世界とは何か」「人間とは何か」という内なる混沌とした思いに、何らかの形を与えて外界に向けて示したいという衝動によるものである。簡単に要約するとそんな話です。
演劇って最初に「何を言うか」があってそのゴールに向かって突き進むイメージだったから初めて読んだときはけっこう衝撃的だったんだけど、私の貧しい観劇体験の中ではこれがあんまりぴんときたことがなくてしばらく忘れていて、昨日モマ見終わった後に、いや~~~~これってそういうことだ~~~~と勝手にすごく合点がいってうれしかった(全然ちがったらはずかしい)
普段の観劇は木目眺めたり座席の見え方考えたりしてることのほうが多いので(ヒプステは別にそんなことないけど、演劇というより全編ショータイムみがあるからちょっと別枠)、すごく健全な演劇を体験した気持ちになりました。
あと、岡崎市民会館がすごくキレイで、主催の温度感の高さがすごく伝わる公演だったこともとてもよかったです。
そもそも東京・大阪・福岡公演の主催は、少年社中・東映・日テレor地元キー局なんですけど、岡崎だけ主催が「岡崎市」「一般社団法人岡崎パブリックサービス」で、協力が中京テレビ事業という体制なんですよね。完全に地域で引っ張り込んだ感。(てか東映と少年社中が主催にいないとかそんなことあるの…)
市民会館周辺の飲食店を巻き込んでコラボメニューを作ったり会場にお店出してもらったり、Twitterで7ORDERのことにまで触れてくれたりw、作品とキャストへの愛と敬意をすごく感じました。
正直愛知県に住んでいても岡崎市に対して正直なんの印象もなかったけど、たしかに城下町らしい情緒がそこかしこにあって、公演や市民会館や美術館がすごくキレイに整備されていて、意外と文化資本が高い土地なのかも~と思った こんな辺鄙な場所にある岡崎高校がなぜ優秀なのか考えたこともなかったけど、その土壌がこれなのかもしれない…
行ったことのないところに行く、という体験も込みですごく濃い日曜日を過ごせてしあわせでした、どうか千穐楽まで怪我なく事故なく走り抜けられますよう。